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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

八重梅に逢えないくらいなら、死んだ方がいい死んだ方がいい! ……欲しいなあ金が欲しい! ……いっそ辻斬り! いっそ押し借り! ……いけないいけない、そんなことは出来ない! ……打ち明けてみよう八重梅へ! ……一緒に死んでくれるかしら? いや死ぬまい、では駆け落ち? ……死んでくれれば死んでみせる! 逃げてくれるなら逃げてみせる! ……枯野を分けて落人だ! ……両刀サラリと捨ててもいい。……遅いなあ、どうしたんだろう?」

ジリジリしながら待っている。

しきりにすだく庭の虫、石燈籠の灯がまばたき、客のない家内静かである。

と、トントンと足音がした。

「来たな!」と幹之介顫え出したが、足音は行き過ぎた。幹之介ホーッと溜息をした。「遅いなあ、どうしたんだろう?」

トントントンとまた足音。

「今度こそ八重梅、間違いはない!」

ギューッと拳を握りしめた。

はたして襖がスーッと開き、あらわれたのは荻野八重梅。「幹様!」というとスルスルと進み、膝すれすれにピタリと坐った。

河東節の水調子

幹之介とスレスレに坐ったが、八重梅ニッコリ笑いかけた。

それから交わされた二人の会話。