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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
絶体絶命荻野八重梅
「ふふん」と笑った荻野八重梅、「人魂だろうと怖いものか! 浮世で怖いは金魂だあね。……それはとにかく、幹様の後生、ちょっと拝んで置こうかしら」ポンポンと柏手を打ったとたん、
「太夫、おッそろしく神妙だねえ!」背後から男の声がした。
絶体絶命荻野八重梅
「太夫、おッそろしく神妙だねえ」
声をかけられて荻野八重梅、さすがにギョッとして振り返った。常夜燈の光に照らされて、ボッと立っている一人の男。
「おや、お前は薪十郎さん」
「さようで」と薪十郎近寄って来た。「神信心でござんすかえ」嘲笑うような声である。
「そういうお前こそ何んのために、こんな所へ来たんだい?」八重梅油断をしなかった。
「へい、散歩というやつで」ニヤニヤ笑っているらしい。
「嘘をお云いな!」と突っ刎ねた。「妾をつけて来たんだろう。……河東節の太夫さん!」
「ウッフ、さてはご存知か」洒ア洒アとして寄って来る。
「玉菊ばかりは上手だよ」
「お耳に止まって有難え」
「寄るじゃアないよ、薄穢ねえ」
「そう没義道に云いなさんな」ニヤニヤ笑って寄って来る。「三枚目でも役者でげす。同じ一座にいる身でさあ」
「そうさ、おんなじ座にいるよ。