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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

それを偶然お助けしたのが、この道人だということだの。……ところで陰謀の発頭人、島津太郎丸という器量人、名古屋の城下御器所の高台に、いまだに住居しているという……秘密を知っている宗春卿を、何んでそのまま差し置こう、恐らくあらゆる策略を設け、なきものにしようとするは必然! ……その手足になったものが、そなたの恋される女太夫! そのまた傀儡になったものが、他ならぬ幹之介殿お前様だ! もっとも」と云うと打ち案じた。「以上はこの私の推察でな、めったに外れまいとは思うものの、もし外れても女太夫は、やはり依然として毒婦でござる!」ここでじいいっと沈黙した。それから断乎として云ったものである。「毒婦でなければ恋するそなたへ、お手もと金を奪えなどと、何んで勧めることがあろう! そなたが盗むと切り出しても、止めだてするのが本当でござる! 毒婦! 毒婦! それに相違ない! だから」と云うと沈痛に云った。「だから毒婦と別れるよう、おすすめするというのではない! 止むを得ぬによって恋の執着、おとげなされと進めるのでござる! それがまだしもの救いだからで……深き迷妄を破るもの、それは決して光明ではない! やはりそれは迷妄でござる! 徹底! これだ! 迷妄の徹底!」