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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
どうしたものか西川正休、まだ一言も発しない。
「これは驚いた! 忍耐強い! 平気で辱しめを受けるそうな。学問の破産というやつだな。気の毒なものだ、同情するよ! ……それはそうと城方の者ども、相変らず腫れ物にでもさわるように屋敷を遠巻きにしているわ。……甲冑の音を聞かせたり、歌舞の音色を聞かせたり、我ながら小策を弄したが、こうも利き目があろうとは、俺にしてからが思わなかったよ。……それとて今夜一晩だけさ! 明朝までには形がつく! ……その明朝まで攻め込まれまいと、使った手品に引っかかり、四方を囲んだ城方の者ども、サーッと後へ引いたんだから、組し易いというものさ」
見下ろしながら島津太郎丸、愉快そうに毒舌を揮っている。
しかし毒舌を揮われても、まさに一言もないのであった。高張り提灯を振り照らし、弓鉄砲をひっさげながら、無数の城方の捕り方達、さも恐ろしいというように、屋敷の四方からズッと離れ、ただ遠巻きに取り巻いている。怒鳴り声、罵しり声、喚き声、一つにかたまってやかましく、騒言となって聞こえては来るが、それさえ何んとなく不安らしい。
「これ求林斎、求林斎」