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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
山影という侍と、仁右衛門という浜路の父、二人のことを訊こうとして、出鱈目にこんなことを云ったのであったが、はたして浜路ひっかかってしまった。
「はいその立派なお侍様は、あの妾どもの懇意な方で、山影宗三郎様と申します。もう一人の方は妾の父で……やはり二人ながら妾と同じに、寄宿人としてこのお家に、お世話になっておりますので」
「おやマアさようでございましたか。ほんとにほんとに山影様という方、お立派なお侍様でございますねえ」
「ハイハイお立派でございますとも。はいアノ大変お立派な方で、はいアノそうしてご親切で、ホ、ホ、ホ、お立派なお方……」
浜路カ――ッと上気したらしい。無理ではなかった、恋人のことを、お立派であると褒められたのだから。
「今日はお見掛け致しませんが?」
「はいこの頃は毎日毎晩、お城の方へお出かけになり、見張っているのでございます」
「え、見張り?」と、荻野八重梅、ちょっと意外な顔をした。
「薬草道人様のお出ましをね、見張っているのでございますの」
「ああ評判の薬草道人様で。……でもどうして見張ってなど?」
「近々にお城をお出ましになると、もっぱら評判でございますので」