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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

「待て待て!」とにわかに伊集院、後へ引きながら声をかけた。「もう大丈夫! すててお置きなされ!」

その時火光を背景にして、一団の人数が丸く塊まり、空地をこちらへ走って来た。

「伊集院さん、遅くなったよ!」

そこから女の声がした。烏組の副将お竹である。

山影宗三郎の前二間、その辺まで来るとその一団、不意に止まって左右へ開いた。真ん中に置かれたはトヤ駕籠である。

「宗三郎さん、さあおはいり!」

お竹の声が響き渡った。つづいて駕籠の戸の開く音がした。

(これで勝負は片付いた)宗三郎の体のように、駕籠の中へ飛び込んでしまったのである。

駕籠の戸が閉ざされ駕籠が上がり、舁ぎ出されようとしたそのおりから、もう一挺のトヤ駕籠が、大勢の者に守られて、城を巡って現われた。

「うまく行ったか?」と伊集院。

「萩原仁右衛門、取って押さえました」その一団から声がした。

「さあそれでは急いで海へ!」

二挺のトヤ駕籠を真ん丸に包み、伊集院の一団走り出したが、この頃七ツ寺の火事場を遁がれ、浅間の社地の方角へ、走って行く三人の女があった。八重梅と浜路とお仙である。

おびき出された浜路とお仙

七ツ寺の火事を後にして、八重梅、浜路、お仙の三人、浅間の社地の方へ走って行く。