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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
詭計にかかった宗三郎
「大丈夫」と云って胸を叩いた。と、チャリンという小判の音。「アッハッハッハッ、腐るほど持ってる」
「ふんとにお前様、福の神様だあ」
二人左右に別れてしまった。
「こっちはこれでよいとして、いずれ酒場の浜路めが、彦兵衛の話を山影へ、きっと話すに相違ない。と山影め明日か明後日、道人探しに行くだろう。よし来たそこを討ち取ってやろう。味方は大勢、山窩がある」
詭計にかかった宗三郎
その翌日のことである、山影宗三郎は家を出て、道人探しに発足した。
「浜路殿の話による時は、薬草道人のおり場所は、螢ヶ丘の北を過ぎ、木場の屯所の南を通り、七面岩の絶壁へ上り、それからどっちかへ行くということだが、まずともかくも七面岩まで、足を延ばしてみることにしよう」
夕立ち催いの曇天ではあったが、そんなことには驚かない。宗三郎スタスタ歩いて行く。神代原を通り抜け、螢ヶ丘の裾の辺を、木場の屯所の方へ歩いて行った。
この辺は一面の大野原で、いわゆる御岳の大斜面、灌木の叢、林や森、諸所に大岩が立っている。
慣れない山路で時間を潰し、午後の日も相当蘭けてしまった。
と、行手の岩蔭から、一人の旅人が現われた。