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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
いわば命がけの遊びなのさ。だがマアそんな詰まらねえ理屈は、ここでは一切抜くとして、ひとつそういう約束にしよう。お前が勝つか浜路殿が勝つか、懸賞の品はこの俺だ。と云うと今度はこの俺が、鼻持ちのならない自惚家の、押売り色男に見えるかもしれない。だがまたそう思ってもよさそうだな。江戸からはお前が追っかけて来る、萩原では浜路殿が好いてくれる、そうしてどうやらもう一人ぐらいは……」隣り部屋を仕切った古襖へ、チラリと横目を走らせたが、皮肉な笑みを眼に寄せた。「……と云う訳でいつの間にか、色男に出世をさせてくれたよ。そうなると今度はその色男を、活用させる必要がある。だが本来は俺という人間、こだわる事が嫌いなのだ。ところが浮世は妙なもので、こだわるまいとしたが最後、四方八方からこだわらせようとする。よろしいそれではこだわってやれと、こういうことにもなろうというものさ。そこで大いにこだわるぜ。色男、色男、色男、俺は素的もねえ色男だ。で、その色男が欲しかったら、道人様を探すがいい」
真面目の調子がいつの間にか、不真面目の調子に変ったが、しかしそういう不真面目の中にも、一脈の真面目さがこもっていた。