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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页

青空文庫

と、すすめた。

その前から曹操は、建始殿と名づける大楼を建造したいという望みを抱いていたが、ただ彼の求めるような良工がまだ見つからなかった。で、今もそのことをいうと侍側のひとりが、

「洛陽に蘇越という建築の名工がいます。これならきっとお気に入るにちがいありません」

と、いった。

賈に命じて、すぐ蘇越へその儀を達せよ、となった。蘇越は召されて後、賈※(「言+栩のつくり」、第3水準1-92-6)の手を経て、設計図をさし出した。曹操が見ると、九間の大殿が中心となって、南楼北楼を連ね、奥の建始殿の構想など最も気に入ったらしかった。

けれど九間の大殿には、おそらくそんな長い棟木があるまいと思われたので、蘇越をよんで、

「そちの図はまことに良いが、画いた良さだけでは仕方がない。どこから、そんな巨きな材木を探してくるか」と、問うた。

蘇越は答えていう。

「洛陽から三十里、躍龍潭の淵に、一つの祠があります。そこにある梨の木は高さ十余丈、千古の神木です。これを伐って棟梁といたしましては如何でしょうか」

「なに、梨の木。それは珍しい。天下に二つとない建築物になろう」

老いても奇を好む習癖は失せないらしい。