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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。
N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页
いかに城外から挑んでも、城を閉じて、相手にしなかったので、張飛もこの城へ手を下しようがなく、先頃から怏々として、作戦に窮していた状はよくうかがわれたが、急に攻め口の活動も怠って、山路に兵を入れているのは、なんのためか、厳顔にも察しがつかなかった。
「鎌を持て。そして城の搦手に集まれ」
厳顔は、十名の物見を選んで、こういいつけた。
密偵の者は、鎌を携えて夕方搦手門に集まった。厳顔が出てきて、こう密命をくだした。
「夜のうちに、裏山へ入りこみ、夜明けとなって、張飛の兵がやってきたら、巧みに、彼の草刈り隊にまぎれこみ、終日、草を刈って馬に積んだら、そのまま張飛の兵になりすまして、敵の本陣へついて行け。そして、彼らが何のために働いているか探り知ったら、早速、脱け出してその真相を城へ告げい。早く正しい報告を持って来た者へ順に恩賞を与えるであろう」
草刈り兵になりすました厳顔の密偵たちは、心得て、おのおの夜のうちに山へかくれていた。
翌日の夕方。
例のとおり張飛の兵は、馬に草を積んでぞろぞろ本陣へ帰って行ったが、そのうちの組頭が、張飛の顔を見るといった。
「大将、決して労を惜しむわけではありませんが、城へ通るには、何もあんな道なき所を伐り拓かなくても、べつに、巴城の搦手の上から巴郡の西へ出る間道がありました。