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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

吉川英治『三国志(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 页

青空文庫

なぜあの隠し道をおすすみにならないのですか」

すると、張飛は初めて知ったように、眼をみはって、

「何、何。そんな間道があったのか。馬鹿野郎っ。そのような道のあることを存じながら、なぜ今日まで黙っていたのだ」

張飛の大喝は、獅子の吼えるように、草刈り兵ばかりでなく、全軍を震えあがらせた。

「猶予はならん。すぐ進発の準備をしろ。ここの巴城などは打ち捨て、一路※(「各+隹」、第3水準1-93-65)城へ通らんことこそ、おれの狙いだ。兵糧を炊け、輜重を備えろ」

にわかの軍令に、宵闇は一時大混雑を起した。

二更、兵糧をつかう。

三更、兵馬の隊伍成る。

四更、月光を見ながら、枚を銜み、馬は鈴を収め、降る露を浴びながら、粛々と山の隠し道へすすんで行く。

厳顔の廻し者はかくと知るや、宵の間に、ここを脱出して、城中へ前後して走り帰った。

一番に戻ってきた者も、二番に帰ってきた者の言葉も、次々の者のいう報告も、すべて一致していたので、

「さてこそ」と、厳顔は手を打っていった。

「あくまで、城方が出て戦わぬに気を悩まし、遂にここを避けて、間道より※(「各+隹」、第3水準1-93-65)城へ押し通らん彼の所存とみゆる。