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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

真鍮の金具、青羅紗の薄縁、やはり非常に独創的である。薬草道人の使用舟であろう。

喜んで飛び乗った組紐のお仙、櫂を取って漕ぎ出した。と一筋水脈を引き、舟はスーッと進んで行く。水禽がハタハタと舞い上がる。しかし決して逃げるのではない。舟の側へ集まって来るのである。陸に遠ざかるに従って、だんだん島が近づいて来る。微風の中に籠っているのは、香水のような薬草の香だ。

と、舟は島へ着いた。石の階段が出来ている。階段には蒼い苔。それを踏んで上へのぼった。間もなくお仙家の前へ立った。何んと美しい花園であろう! まるで虹でも敷いたように、家を輪取って群れ咲いている。見も知らない花である。日にむかって顔を上げている。その花の間に遊んでいるのは、七面鳥や孔雀である。子を引き連れた雷鳥や、純白の雉も遊んでいる。かつて危害を加えられなかったためか、お仙を見ても驚こうともせず、足もとへピョンピョン飛んで来た。

「可愛いことね、おお可愛い」

お仙思わず呟いたが、心がにわかに恍惚となり、一時に俗念が消えてしまった。見れば一条の小径がある。家の玄関に通っている。そこを辿って玄関へ行き、