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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

何んだ、捉えて、利用しようとするのさ。今の大将もその口らしい。あぶないあぶない、隠れていよう。まだまだ来るよ、五六人はな」

しばらくの間は静かであった。と、山上から唄声がした。

「恋しいお方はおりませぬ」

現われたのは組紐のお仙、忙しそうに峠を下りて行った。

「ソーラね、あれもあぶない口だ」

つづいて現われたのはお吉である。脚絆甲掛旅姿、背中に糸経を背負っている。と、スタスタ行き過ぎた。

「ソーラね、あれもあぶない口だ」

やや暫時はしずかであった。と話し声が聞こえて来た。現われたのは二人の男女、一人は仁右衛門、一人は浜路、いずれも厳重な旅よそおい、急ぎ足で通りすぎた。

「どうもね、あれらも怪しいよ」

薬草道人紅丸へ囁く。

もう日も暮れて夜が来た。と、山上からタッタッタッ、ひた走って来る音がした。月光を肩に現われたのは、旅商人風の伊集院、これまた道人がいるとも知らず、福島の方へ走り去った。

「あれなんかが一番あぶない。私には解る、殺伐な男だ。剣気がムラムラと取り巻いている。が、大概こんなものだろう。さてこれからどうしようかな?」

「福島へ参ろうではございませんか。