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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
『浮世に必要は藪医者で、浮世に無用は名医でござる』そこで拙者の思うには、薬なんてものは不必要!」
驚いたのは紅丸である。
「先生先生何を云われます。怒っているではございませんか。はい、お立ち合いの人達が。第一せっかくのお薬が、売れなくなってしまいます」
「あっ、そうか、ごもっとも! 取り消す取り消す、すぐ取り消す! ええと皆さん実のところ、体が病気で心がたっしゃ、こいつがよいとは申しましたが、いけないそうでございます。体が病気で心が病気! これが一番よいそうで」
「先生先生、尚いけません。体がたっしゃで心がたっしゃ、こう云わなければいけません」
「よろしいよろしい、そう云おう。体がたっしゃ、心がたっしゃ! これがよいそうではございますが、そんな人間は一人もねえ!」
「先生先生」とまた紅丸、「一層悪いじゃアございませんか。後の文句がいけません」
「よろしいよろしい、また取り消し、心がたっしゃで体がたっしゃ、こういう人間はウジャウジャいます、日本中の人間はみんなそうで。みんなそうだということは、みんなそうでないということで。比べる物がないのでな」
「あっ、いけません、石を投げます」