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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

相変らずの行列である。花咲いた十本の薬草を、頂きにのせた薬剤車、それを引いている跛者の猪十郎、後押しをする美童の紅丸、先に立ったは薬草道人、肩に白烏が停まっている。深夜の月に照らされて、浮かぶがように歩いて行く。

やがてやって来た堀川筋、日置辺には材木問屋が多く、堀の両側は隙間もなく、材木によって飾られている。流域ほとんど半里に渡って、材木の山があるのである。立てられたもの、積まれたもの、堀の水面へ浮かべられたもの。……

と、一つの人影が、材木の蔭から現れた。近寄って来る道人の一行、それをじっと隙かして見たが、パタパタと走ると跪いた。

「薬草道人様ではございませぬか、妾お吉でございます」それは六文のお吉であった。

「ほほう」と道人立ち止まったが、「これはこれは珍らしい、意外の所で逢ったものだ。いつ名古屋へやって来たな? が、それはどうでもよい。私もこのちへやって来たよ。ひどく御岳が騒がしいのでな。だが来て見て後悔した。名古屋はもっとやかましい。当然といえば当然だが、安眠の場所さえないのでなあ。これにはすっかり参ってしまった。どうだね、お吉さん、私のために、静かな住居を見付けてくれないかね。