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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

耳を澄ますと女の声!

「はてな?」と立ち上がると宗三郎、忍びやかにその方へ歩いて行った。

異った光景が展開されていた。

雪女郎のような一人の美女を、黒小袖を着た五六人の女が、グルリと取り巻いているのである。取り巻かれているのは鷺組のお絹、取り巻いているのは烏組の連中。

「おいお絹さん、そうはいかないよ! そんな手ぬかりをするような、ヤクザな烏組とは少し異う! 大概今日あたりは来るだろうと、昨夜からかけて待ち構えていたのさ。うまうま網に引っかかったねえ。ジタバタしたって追っ付かない、しょびいて行くからその意りでおいでよ」烏組の副将お竹である。

すると続いて烏組の連中、勝ち誇ったように喚き出した。

「あたじけないね、鷺組はさ! 御大将のお絹さんからして、こんなヘマなことをやるんだからねえ」

「『二方遁がれ』の城の間道、出口が二つある以上は、両方の出口へ人を配り、固めをするということぐらいは、誰にだって考えがつく筈だがね」

「それをウカウカやって来て、この出入り口から忍び込み、中納言様を奪い返そうなんて、あんまり智恵がなさ過ぎるよ」

「しかも大胆にも一人で来てさ」