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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
喜三太、嘉市というトヤ駕籠使いの名手、その二人に託しましたれば、まず間違いなくおびき出し、連れ参ることと存ぜられます」
「うむ、その山影宗三郎だが、たしかその方と御岳山中で、甲斐の徳本と想像される、薬草道人とかいう不思議な隠者を、中心にして争った、その水戸家の侍だな?」こう訊いたのは太郎丸。
「はい、さようにございます」
「ところでその方は何んのために、甲斐の徳本を討ち果たすよう、大殿から直々使命を受け、御岳山中へ分け行ったか、その理由を知っているかな?」
「は、詳しくは存じませぬが、どうやら柳営におかれまして、我が君様と水戸のお館とが、甲斐の徳本の有無について、ご議論なされたのが原因だとか?」
「そうだよ」と太郎丸頷いた。「ひとつ詳しく話してやろう。これは柳営の秘密だが、将軍吉宗大病なのだ。で、ある時総登城、ご機嫌をうかがったことがある。その時水戸のお館が、木曽山中に古今の名医、甲斐の徳本が隠棲し、霊薬十本の薬草を、栽培しているということであるが急ぎ召し寄せたならどうであろうかと、こう熱心に建議したのを、我らがご主君島津殿には、甲斐の徳本存命ならば、本年一百八十歳となろう、さように生くべき道理ござらぬと、即座に反対されたため、忽ち議論二派に別れ、譜代大名は水戸方に賛し、外様大名は島津方に同意し、キシミ合ったという