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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

「これは不思議だ! これは迂濶だった! いつの間にあんな星が出たのだろう! 瑞徴瑞徴偉い星が出た! 殿々、ごらんなさりませ、あの盗み星のすぐ横に、涼しい澄み切った小さな星が、盗み星の光を奪うまでに、輝いているではございませんか! 殿々、あれこそ聖者星でござる。学術的に云えば天禀星、すなわち聖者山林を出て、穢土俗界に下った時、現われるものと云いつたえられた、千百年間に二度とは出ない、珍らしい星にございます! いや有難い、これで大丈夫だ! 盗み星は消えよう天下は泰平! がそれにしてもどのような聖者が、どこからどこへ現われたのであろう? これは是非とも目付けなければならない! 殿、お暇いたします!」

家内へ引っ込もうとした時である。

「ならぬ」

と太郎丸一喝した。抜いた刀を持っている。

「これ」と太郎丸刀を上げた。「帰すことはならぬ! どこへもやらぬ!」

その様子を見た西川正休、驚いたかというに驚かなかった。

「ははあ拙者をお手討ちかな」

「まずそうだ、学問の祟り!」

「ほほう、それはどういうわけで?」

「拙者の本心を見抜いたからよ」

「よろしい、お手討ちなさるがよい」