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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

「娘よ娘よ!」とまた仁右衛門、「はぐれるなよ! しっかり続け!」

「はい、お父様、大丈夫!」

「方角はこっち! おいでなさりませ!」お絹真っ先にトッ走る。つづいて三人、ひた走る!

「逃がすな! 逃がすな!」と門内より、忽ち現われた無数の敵! 一団となって追って来た。

こっちの四人、女連れだ、殊に浜路は疲労れている。呼吸が逸んで歩きなやむ。背後三間、追い逼まった敵!

「山影氏!」と萩原仁右衛門、「ご苦労ながら一人二人!」

「心得てござる! 貴殿にも!」

「もちろんのこと! では一緒に!」

グルリ振り返った宗三郎と仁右衛門、返しはしまいとタカをくくり、不用意に逼まって来た敵中へ、一踴黒々と飛び込んだ。キラリと刀身二本上がる! 斜めに落ちたとき二声悲鳴! 仆れる音に退く音!

「娘よ!」と仁右衛門引っ返した。

遙かに逃げのびた浜路の声、「お父様お父様! ここにいます! 山影様山影様!」

「浜路殿!」と宗三郎、仁右衛門と揃って引き上げる。「お絹殿お絹殿!」

「こっちへこっちへ!」とお絹の返事!

一緒になった四人の男女、ひた走るひた走る御器所の森へ!

だがいつまでも追い逼まる敵! しかし御器所の森林は、四人の前へ近づいて来た。