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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
久しぶりで許された令声である。「薬草道人お渡りでござる!」
リーンと響いていい声だ!
しばらく止まっていた異風行列、そこで粛々と動き出した。
「ハイハイみなさん、おさらばおさらば! みなさん皆よい方だ! 俺のつまらないお談義をよく辛抱して聞いてくだすった! 悪人なんか一人もいない! 喧嘩をしないともっといい! オヤオヤ抜き身を納めたね! 有難い有難い、それがよろしい!」飄々乎として歩いて行く。
「お渡り!」と紅丸また令声!
レキレキレキ、ロクロクロク! 家々に響き渡る轍の音! 焔々松火、天を焦がす! その天も次第に明けようとしている。
行列大手近く来た時である。御用提燈を振り照らし、騎馬と徒歩で数十人、ムラムラと行く手へ現われた。七ツ寺附近の騒動を、取り鎮めに向かう人数らしい。
「怪しい行列、引っ包め!」
グルグルグルグルと取り巻いてしまった。
つと進み出たは尾張宗春、
「迎いに来たか、ご苦労であるぞ!」
「あ!」
と云ったが役人の連中、見ればお館、中納言様だ! 驚くまいことか、ベタベタと坐り、大地へ頭をすりつけてしまった。
「俺には構うなこのお方だ!」宗春、道人を指さした。