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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
今までの俺のやり口は、どっちかと云えば陽性だった。陽性で失敗したからには、陰性の手段を取らなければならない。たとえば毒殺というようのな」ここで太郎丸陰惨に笑った。「女役者の八重梅が、そこで活躍をすることになるのさ」ふたたび陰惨に笑ったが、「すべて事を行うには、徹底味がなければいけないなあ。一つ破れたらもう一つ、それが破れたらもう一つ、またそいつが破れたら、さらにさらにもう一つ! すなわち手を代え品を代え、初心を貫徹すべきだよ……どれそれでは部屋へかえり、八重梅への書面でも書くとしようか。伊集院、お紋、さあさあ来い」
物見台から三人の者、スルスルと下へ下りて行った。
ちょうど同じ夜のことである。
橘町は賑わっていた。扇屋、辰巳屋、大和屋、若松屋、二階づくりの遊女屋が、軒を並べて立っている。翻える暖簾に掛け行燈、出たりはいったりする仲居や曳子、ぞめいて通る素見客、三味線の音色、唄う声、――遊女屋にまじって蔭間茶屋、市川桝之丞、浅尾庄松、門にこんな名が記されてある。
今にも市街戦がはじまろうというのに、ここばかりは華やかで陽気である。
裏手へ廻ると芝居小屋、櫓づくりの立派な建物、「妹背山」