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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

「おや、どこから来たんだろう?」受け取りながら考えた

「烏のお化け、蝙蝠のお化け……と云ったような変な女が、只今裏木戸から参りましてね」

「なるほど」と云うと封を解いた。とたんに膝の上へ落ちたのは、黄紙に包んだ薬ようの物!

「おや」と云ったが懐中した。それからサラサラと文を見た。

と、「ううむ」という呻き声が、八重梅の喉から出たものである。

「おい」と若い衆へ声をかけた。「そのお使いはまだおいでかえ?」

「へい、おいででございます」

「たしかに承知いたしました。――こうそのお使いに云っておくれ。……あの、それからね、駕籠一丁、すぐに裏木戸へ廻すように」

「へい、よろしゅうございます」

立ち去って行く若い衆、後を見送った荻野八重梅、スッと立ち上がるとしごきを解いた。「さあ小仙、着換えだよ」声の調子がピンとしている。

「はい」というと弟子の小仙、ムダも云わずに飛び上がった。

衣裳を肩から辷らかす。痩せては見えるが肉附きがよい。子を産んだことなどないと見え、ムックリ乳房が張り切っている。小仙の着せかける外行を着、シャンと帯を結んだ時、

「へい、お駕籠が参りやした」若い衆が知らせて来た。