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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

いやアな顔をしたものである。

「我がままも我がまま、大我がまま者で、話しにも何んにもなりゃアしません」

「ふふむ」と云ったが考え込んでしまった。

「まず意ってもみられるがよい」道人いよいよ穏かに、「他人の迷惑を反省ず、自分ばかりを潔くしたい! こんな我がままってありますものか」

「なるほど」と少し解ったらしい。

「それにさ」と道人愛嬌よく、「任というものがございますよ、さようあらゆる人間にはな。任を忘れてはいけません。さてところであなたの任、いったい何んでございましょうかな?」

「さあ、私には、ちとそれが……」

「え?」と道人吃驚りした。「お解りにならないとおっしゃるので?」

「さようでござる、ハッキリとは」

「馬鹿な話しで」と薬草道人、いよいよ驚いたというように、「国を治めて、民を休める、こいつが任じゃアございません」

「あッ、いかにも、そうでございました」

「そこで私は申しましょう、任によって心を浄めるがよいとな」道人一膝膝を進めたが、「それについてお話し致しましょう」

外へ向かって働きかけん

一膝のり出した薬草道人、穏かに説き出したものである。「ええ任によって心を浄める! いやむしろそれはこう云った方がよろしい。