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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

「はい誓って! ……それ以外には……」

「そやつ毒婦! こうは思われぬか?」

「なかなかもちまして、さような事……」

「スッパリお別れなさるがよい! こうこの私が勧めても、別れられまいな、そなたには?」

ブルッと顫えた幹之介、返辞をせずに顔を下げた。畳へ落ちたは涙である。

それを見やった薬草道人、喟然嘆息をしたものである。

「釈尊三不能を説かれたが、まことにまことにいわれがある。誠忠、真面目、一本気、清らかな心の持ち主が、年長の市井の毒婦などに、魅入られた以上もはや駄目だ! 己の心が清いだけに、清からぬ者に愛着を感じ、深みへ深みへと落ちて行く。相手の欠点、美に見える! 見え透いた手練手管さえ、好もしいものに映って来る。諫められて聞かず説かれて服さず、かえってその人を怨みさえする。持っている清い心持ちが、かえっていよいよ迷妄を産む! 幹之介殿、わしにはな、そなたを説き伏せる力はない! しかし」と云うと薬草道人憐れみの眼をしばたたいた。「一応は申そう、思うところをな。……聞くも聞かぬもそなたまかせ!」

光明暗黒合一の期は?

「一応は申そう、思うところをな、聞くも聞かぬもそなたまかせ」