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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
こう度胸を定めてみれば、大して恐ろしいこともない。
「野宮でもあればいいのにねえ」でズンズン歩いて行く。
ピッタリ日が暮れて夜となり、もう歩くにも歩かれず、無理にも歩けば谷へ落ちるか、川へはまって死ぬだろう。もういけないと覚悟を決め、足を止めた時チラチラと、燈火の火が見えて来た。
「おや有難い、里があるよ」
で、お仙、走り出した。
丘の上に森があり、その森の中に五軒ほどの、木小屋めいた建物が立っていた。
「おい、お半さん、嬉しかろう、三番の甚さんとあいもどり、昨夜はさんざん融けたってね。それで帰って来ても口を拭いて、知らない顔とは気が強いよ、萩原の宿へ人をやり、十文がところ餅でも買おう。奢ったっていいよ、お奢りよお奢りよ」
「何を云うんだよ、お山さん、そういうお前こそ山役人の、あのいい男の本田さんに、永らく焦れた甲斐があって、首尾が出来たって云うじゃあないか。馬鹿にしていらあ明しもしないで。こっちが餅ならお前の方は、酒ぐらい振る舞ってもよかろうぜ」
「ねえねえ島さん、こうだとさ、あのお米さんの腕だっしゃは、大洞の金持ちの息子を溺し、今度足洗いをするそうだよ。