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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

おびき出すことが出来ません。それを申し上げるとうんそうか、では八重梅を働かせるがいい! ――そこであなたという人へ、ご用が立ったのでございますよ。さてその浜路でございますがね。ご存知でもあろうが七ツ寺、蝮酒屋という酒店に、かくまわれているのでございます。水戸の藩士で山影宗三郎、太蛇使いの組紐のお仙、それから浜路には父にあたる、旧水戸藩士の萩原仁右衛門、それから水戸の女忍び衆、鷺組のお絹とその手下、ええとそれから蝮酒屋の主人、弥五郎と云ってかなりの顔役、そいつの乾分の破戸漢達! ……などというような連中にね。……なかなか油断はなさそうです。……そうですねえ何んとかして、この浅間の社地へでも、おびき出すことは出来まいかしら。ここまで連れ出したら大丈夫、後は烏組の連中が、トヤ駕籠で引っ攫って行きますよ」

「ああさようでございますか」八重梅ちょっと考えたが、「一度失敗したこの妾、何かで取り返しをしなかったら、どうにも太郎丸のご前様へ、会わせる顔がございません。そうは云ってもこの妾も土地で相当人気を取り、顔をしられていた女役者、蝮酒屋へ入り込むにしても、何か趣向をしなければ……ああそうだいいことがある。