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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
……それが女の心持ち! いえいえ下衆の、妾のような、女芸人の心持ち! ……これだけはお信じくださいまし! 今は、今こそ、生一本に、ア、あなたを愛しております! ……死ぬのだ、幹様! 二人して! ……あなたの刀で殺されて! ……、呼吸がだんだん……苦しゅうございます」
首が下へと俯向いて行く。ハッハッハッと引く息になる。
「幹様!」ともう一度首を上げた。「何んとかおっしゃってくださいまし」
地へのめろうとする首を上げ、「八重梅!」と幹之介洞然と云った。「明るくなった、俺の心は!」
「妾も!」と八重梅、やっと答えた。「ああその上に喜びが……」
「刹那ばかりだ! 死の刹那! ……人間本当に活きられる! ……消えた! 迷妄! 今こそ明るい」
「苦しゅうございます! それも一刻……すぐもう他界で……」
「何んの他界が……」
「そこで二人で……」
「何んの住もうぞ! 他界はないのだ! 他界はないのだ!」
「それでは幹様! ……この世だけの縁?」
「うむ」と云ったが次第にのめる。「くりかえすものか、同じ苦痛を! ない方がいい、ない方がいい。今ばっかりだ! 死の間際の」
「あんまり寂しい!」