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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

山窩の頭領多羅尾将監、先祖は蒲生氏郷の家臣、半弓にかけては手利きである。

「頼む」と叫ぶと伊集院、数間の後ろへ引き退いた。

「やっつけろ!」と喚く将監の声! ピューッと数条の征矢が飛んだ。山窩め、手に手に弓を引き、宗三郎を討ち取ろうとする。

「あッ、しまった、飛び道具か!」驚きはしたものの恐れはしない、傍らの立ち木を楯にとると、宗三郎は身を隠した。弦音高く射出す征矢、呻りをなして飛んで来るが、たかが山窩の手練である、身近に逼るものはない。ただし将監が射出したなら、相当危険といわざるを得まい。

果然将監狙いをつけた。竹林派の押し手弓、キリキリキリと引き絞り、満を持して放たない。と活然たる弦返りの音、弓籠手に中って響いたが、既に発たれていたのであった。

掛け声もなく宗三郎、横に払って矢を切った。間髪を入れずもう一本、面上をのぞんで飛んで来る奴を、小刀を上げて上へ刎ねた。三本目が股へ来る。キワドク飛んで辛く遁がれる。いつか宗三郎立ち木を離れ、全身を敵にさらしてしまった。

見て取った将監合図をした。と降りかかる十数本の征矢! 山窩の群が放したのである。

「もういけない!」