Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Lisez 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) de 三上 於菟吉 (みかみおときち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 344 083 caractères · 673 écrans

Aozora Bunko

こりゃあ、もうよんどころない――うちへ帰って、おふくろに、何とか泣きつく外にない――友だち一人の、一命にかかわることだ――この決心がつくまでには、ずいぶん苦しんだのだがね――」

闇太郎の顔に、苦笑がうかんだ。

「あの頃の、おれのように、捨て身になり切っていても、人間って奴あ、やっぱり人間らしい気持がのこっているものでネ。生みの親、親身の兄弟なんてものに、どこかこころが引ッかかっていると見える――おれは、弁公を、合壁に頼んで置いて、のこのこ江戸まで引ッ返したのさ。秋ももう大分深いころで、左様さ、ちょうど今日このごろの季節だったが――」

雁が、北の方へ、浅草田圃の、闇の夜ぞらを、荒々しく鳴いてすぎた。

主人も客も、その声のひびきが、遠ざかってゆくまで、黙り合っていた。

若い盗賊はしんみり聴き入っている女形に、

「風邪でもひかせちゃあ済まねえ。どてらを掛けて上げようね――」

と言って、立ち上って、押入れから、南部柄の丹前を取り出すと、ふうわりと、細そりした肩先にかけてやって、火鉢に炭をつぎ足したが、

「さて、久しぶり江戸入りをしたおれは、さすが、日の高いうちには、うちの近所へは近よれなかったので、日ぐれまぐれを狙って舟町の生家の背戸の方へ、まるでコソ泥のように、びくびくもので忍び寄ったわけさ。