Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Lisez 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) de 三上 於菟吉 (みかみおときち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 344 083 caractères · 673 écrans

Aozora Bunko

一二

彼女は、別に、とっかわ逃げ出そうともしないのだ。

黒門町のお初というものが、下り役者にうしろを見せるのは、一生の恥辱とも思っているのであろう――

雪之丞はジリジリと進んで行った。もう彼は、今眼前へ毒口を吐いている人間を、女子供と嗤っていることが出来ないのだ。

――この場を、生けて逃がしたら、この女、三斎屋敷へ、このまま、駆け込むに相違ない――許せぬ。

ぐうっと、迫ってゆくと、闇の中で、お初の目が、凄じく光って、

「こんちくしょう! 殺してやるから! そんなに寄って来ると――」

お初、もとより雪之丞の、真の手腕を知っているわけがない――嚇して、追っぱらおうとしたが、例の、帯の間の匕首を、キラリと抜くと、

「こいつめ!」

と、ビュウと、突ッかかって来る。

雪之丞は、さすがに、自分は懐剣をひらめかせる気にはなれない。

十分に、突ッかけて来させて置いて、たぐり込んで、一絞めに絞めてやろうと、身をかわす――お初は、その隙をくぐって、二の太刀を斬りこもうとはせず、

「馬鹿め! あばよ!」

と、闇にまぎれて、パアッと、駆け出してゆくのだ。

軽業のお初――名うての女賊だけあって、その飛鳥の身のこなしは、なかなか、ありふれた剣者なぞの及ぶところではない。