Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Lisez 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) de 三上 於菟吉 (みかみおときち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 344 083 caractères · 673 écrans

Aozora Bunko

一一

――ウム、これでよし――

と、心の目で、雪之丞が、もはや、寺後の杜を抜けて、塀さえ越してしまったのを、見届けてつぶやいたが、

――それにしても、俺にゃあ、このままじゃあ、帰えられねえ――お初の奴に、ちょッぴり礼を言わねえことにゃあ――

スウッと、本堂を、物の影のように抜けると、いつか、庭へ下りて、さも遠くから、たった今、駆けつけて来たかのような息をし、妙に掠めた、低い調子で――

「吉ッつぁん――黒門町の、もしや吉さんというお人が、このお寺に来てはいやあしませんかね?」

庫裡の、上りがまちに、腰を下ろして、いずれ、悪徒らしいかごかきを相手に、これも寒さ凌ぎの、冷酒をかぶっていた、がに股の吉が――

「たれだ? 俺の名を云うなあ――」

と、不気味そうに、びっくりしたような、

「手めえは何だ?」

どこから、出し抜けにあらわれたか、突如として、暗がりの庭にはいって来た男を見て叫んだ。

相手は、そんなことには、頓着なく、

「おお、お前が吉ッつぁん――安心しやした。さっき、池の端を駆け出して、川向うまで、一足飛び――大てい、この辺だろうと、お杉の姐御が言うものだから、見当はつけて来たが、若し一あし違えになったら大変だと思って――」