Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Lisez 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) de 三上 於菟吉 (みかみおときち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 344 083 caractères · 673 écrans

Aozora Bunko

芝居者相手の雑用宿のいじけた店が、二、三軒並んでいるのを、素通りして、意気で、品のいい「花村」というはたご屋の前に、ほんのしばし、立ち止って行灯を眺め、二階を見上げたお初、ニッと、目で笑った。

――ふうむ、もうかえっていやがるな。待っておいでよ。おめえの枕上に、ついじきに立ってやるから、――

こうした家の、裏口を、あけ閉てすることなんぞは、お初に取っては、苦でもない。まるで風が隙を潜るようなものだ。

何分、朝の夙い役者を泊めている家、すっかり寝しずまっていることゆえ、裏梯子を、かまわず上り下りしたところで、見とがめる目も耳もあるはずがなかった。

――あいつ等め、表二階を打っとおして借りているってはなしだっけ。

と、お初は、裏梯子の、上りつめたところで立ち止まったが、ふと、その表二階の、すっかり灯の消えた部屋部屋の、一番奥の一間に、かすかにあかりが差しているのを認めた。

――おや、あすこだな、起きているな。そういえば、何だか、もそもそ、話しごえがしていやがる。厄介な――

お初は、すうっと、薄暗い廊下を、通り魔のように抜けて、その部屋の前まで行って、立ち止まった。