Classiques japonais avec furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lisez 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) de 三上 於菟吉 (みかみおときち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 344 083 caractères · 673 écrans
孤軒老師のおしえで、広海屋と長崎屋を、深刻に噛み合せるために計った、あの策略が、どんな功を奏したか、もう結果がわかるころであった。
雪之丞は、否やなく、閉場をまちかねて、かごに揺られて、例の根岸の、ひっそりした鶯春亭の奥座敷に、広海屋の席へ出た。
広海屋は、今夜、いつもより一そう福々しく、しかも、細い、象のようにまぶたの垂れた目が、生き生きと、きらきらと輝いているようだ。
「さあさあ、これへ――堅固で、相変らずの高評、お目出たいな」
と、富豪は迎えて、
「ときに、今夜、楽屋に、思いがけぬものが届いたであろうが――」
雪之丞は、広海屋の、極上の笑顔を見て、
――さては、あの贈りものの主、この人だったのだ――
と、思い当った。
「は――」
と、何か、答えようとすると、押っかぶせて、
「いや、つまらぬもので、礼には及ばぬが、実は、あれは、そなたへ、お礼と言い、かつは、心いわいのしるしじゃ。こころより、受納にあずかり度い」
「お礼と、おおせますと?」
雪之丞――例の一件に関してのこととは思ったが、気がつかぬふりで――
「何やらわかりかねまするが――」
広海屋の声は、急に低く低くひそまった。