Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lisez 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) de 三上 於菟吉 (みかみおときち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 344 083 caractères · 673 écrans
「おや! 貴さまは何だ! 乳母か? 乳母が取りかえしに来やがったか?」
と、血走った目で、掴みかかろうとする三郎兵衛を、雪之丞はなだめるような微笑で、
「まあ、心を落ちつけて、あの火の燃えている方を御覧なされ! それ、あそこへ、お前があんなにさがしている、広海屋のあるじが逃げてゆく――赤児なぞに、かかわっている時ではあるまい――それ、あそこへゆくのが、わからぬか!」
片手で、指さして見せる、火事場の方角、三郎兵衛は、口をあけて、
「どれ、どれ、どこに?」
と、呟きながら、フラフラと、その方へ歩み出すのだった。
一〇
もはや、炎々と燃え熾って来た広海屋の大屋台――そのほむらの明るさは、既に、そこら中人の顔、眉毛の数までがわかるほどだ。ごく近い、火の見では、激しい摺り半鐘のひびき!
雪之丞は、今にも、咽喉笛に、爪を立てられて、いのちを落そうとした広海屋の、老いの初児というのを、長崎屋三郎兵衛の手から事なくうばい取ったが、あとの、成りゆきを見さだめるために、いつまでも、この河岸に佇んでいることが出来ない。怪しげなすがたが、何ものかの疑いをまねくかも知れないのだ。