Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Lisez 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) de 三上 於菟吉 (みかみおときち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 344 083 caractères · 673 écrans

Aozora Bunko

浪路は、かまわず、走ろうとしたが、無駄だ――はっきりと、彼女の名を、呼びかけられてしまった。

「浪路どの! 拙者だ! おまちなさい!」

――おお、横山どのだ!

悪い人に、悪いところでと、くやまれたが、しかし、立ち止まらぬわけにはいかない。

チャラチャラと、近づいた横山五助、闇をすかして、二人を、睨め据えるようにしたが、

「甚太郎、貴さま、不届きな奴だな! よくも、拙者ども、また、お屋敷をあざむいたな!」

皺枯れた語韻で、まず、嚇しが来た。

「は――」

何とか、言いのがれようとして、甚太郎はどもった。

「お屋敷御高恩を忘れ、何たることだ! 浪路どのお留守のための御迷惑が、わからぬか!」

五助は、いかめしく言って、いつか、二人の行手をふさいでしまっていた。

甚太郎は、口をもがもがとやるだけだった。

一〇

だが、恐怖と困惑とに、茫然自失してしまった甚太郎に、横山五助はいつまでもかかり合ってはいなかった。

彼の、闇にきらめく、狂奮の瞳は、浪路に向けて、食い入るように注がれるのだ。

夜の深みにうなだれた、白い、萎れかかった花のような立すがたの――襟あしの、横がおの、何という悩ましさ、艶めかしさ――五助の魂は、おののかずにはいられぬ。