Classiques japonais avec furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lisez 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) de 三上 於菟吉 (みかみおときち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 344 083 caractères · 673 écrans
「いや、なお、御用多繁――それに、何かお館うちにも取り込みがある容子、これにて御免を蒙る」
と、立ち戻ってしまう。
三斎父子は、そこで、茫然たるばかりだ。異常な裏面的関係で、勢威を張り、利得をむさぼっていただけに、一朝、土台がゆるげば、もはやそれまで、積み重ねた瓦が崩れるように、ガラガラと滅亡してゆく外はないのだ。
土部家を、助けようためには、たった一ツ、法がのこっていぬではない――それは、三斎が、ふくみ状に、一切の罪をわびて自殺し、公方の哀憐を求めれば、或は、伜だけは、不名誉からすくわれるかも知れぬが、それが出来る三斎ではない。狡智で、一生を、楽々と送ることばかり考えて来た人間だ。
「伜、まだ、狽てるには及ばぬぞ――老中、若年寄、わしと、親類同然にまじわったこともある人々じゃ――何とか、手立てが残っておらぬでもあるまい」
冬の日が、わびしく夕ざれて、夜になって、仏間の方では、枕経のこえが、うら淋しく断続している。
今は、父子、死んだ浪路より、わが身の上と、いそいそと談合にふけっているうちに、宵もすぎたが、すると、家来が来て、中村座の雪之丞が、久々にて、機嫌うかがいのため、参館したことを知らせるのだった。