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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

道人を追う六人の男女

「一両でいい一両くだせえ」

追いすがるのをポンと蹴った。ひっくり返ったお榧さん、「痛えヨー」と云うやつを、肩で笑った伊集院、トットと麓へ下ったが、下りながらも考えた。

「諸方の噂を聞いたところでは、どうやら薬草道人は、名医甲斐の徳本らしい。甲斐の徳本とあるからは、どうでも討って取らなけりゃアならねえ。おそらく山影宗三郎も、道人を追って山下り、福島へ行くに違えねえ。いやもう既に行ったかもしれねえ。途中で逢って騙し討ち、二つの首を並べてやろう」

ところでこのころ薬草道人、どこを歩いていたかというに、福島から半里の山中、灌木の茂みにこっそりと、二人の家来と薬剤車、眼を病んでいる烏共、隠れながら話していたものである。

と一騎馬上の武士、サ――ッと峠道を下ろして来た。

道人を追う六人の男女

山上から馳せ来た騎馬の武士、他ならぬ山影宗三郎、薬草道人がいるとも知らず、灌木の前を福島の方へ、砂煙りを上げて走り去った。

「ソーラね」とばかり薬草道人、紅丸へ囁いたものである。「大概こうだろうと思っていたよ。私の六感が感じたのさ。どうもこの頃この私を、捉えようとするものがあるらしい。