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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

「ううむ」と宗春呻いてしまった。「ちょっと類のない変った美人、ここら辺りの者ではない。京かな、それとも大坂かな? ……三弥三弥、あれを見ろ! 素晴らしい美人が立っている」

「はっ」というとお気に入りの近習、山形三弥望遠鏡を戴き、つとそっちへ差し向けたが、「ううむ」とこれも呻いてしまった。「異った美人にございます。おっ、笑いましてございます」

「おお笑ったか、どれよこせ」宗春またも見入ったが、「やまたも笑いおる。……紋右紋右、そちも見ろ」

近習の山路紋右衛門、そこで望遠鏡で覗いたが、「ううむ」とこれも呻いてしまった。「いかさま美人にございます。おっ、笑いましてございます」

「また笑ったか。どれよこせ」宗春またもじっと見た。「おおおお、またも笑いおる! あっ、いけない、行ってしまう。松へ隠れた。もう見えない」

名残りが惜しいというように、宗春呟いたものである。

その翌日の同じ時刻、宗春は天主へ上って行った。望遠鏡で覗くと女がいる。

「三弥三弥、今日もいるぞ! おっ、笑った! 美しいものだ」

「殿、なにとぞ望遠鏡を」

「見るがいい」と手渡した。

「おりますおります、艶かなもので。