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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

仙人にして名医薬草道人

すなわち彦兵衛の神棚にあった、神農じみた老人の画像! しかし画面は同じでも、巻物は両者別であることは、紙質墨色の異うのでも知れる。

仙人にして名医薬草道人

「何んと萩原仁右衛門殿、ここに書かれた老人を貴殿お見知りはござらぬかな?」

すると仁右衛門は首を延ばし、じっと画面を眺めたが、

「存じております、薬草道人様で」

「おお、さてはご存知か?」

「私ばかりではございません、御岳山中に住むほどの者で、道人様を知らぬ者は、おそらく一人もございますまい」

「ははあそれほど有名で?」

「有名にも何んにも活き神様で、崇拝のマトでございますよ。と申しますのはこのお方が、御岳山中に薬草あり、万病に効くとおっしゃったため、諸国から無数の薬草採りが、入り込んで来たのでございますからな」

「ははあなるほど、さようでござったか。いやそれで安心致した。しかと薬草道人には、この山中においででござるな?」宗三郎改めて念を押した。

「たしかにおいででございます」

「やれ有難い、大願の一歩、これで叶ったというものだ。ううむさすがはお館様、ご明察に狂いがない。全くもって恐れ入ったことで」こう云うと宗三郎誰にともなく、頭を下げたものである。