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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
従容として云ったものである。「拙者死んでも怨みござらぬ。既に天禀星あらわれた以上は、殿の今回の企て到底成就しませんからな」
「うむ」と云ったがジリジリと進んだ。とにわかに声を落とし、「これ求林斎、ちょっと聞きたい、その天禀星の主の在家、どうだそちに解るかな?」
「盗み星の主の正体を、見現わしたところの拙者でござる。もちろん、天禀星の主といえども」
「そうか、解るというのだな」
「目付けないでは置きませぬ」
「よし」と云うと刀を納めた。
「目付けて俺に教えてくれ」
「え?」と正休訊き返したが、
「ははあ、それではご前には……」
「大望の邪魔する天禀星の主、目付かり次第叩っ切るのさ、求林斎それまではそちの体、屋敷内から遁がさぬぞよ!」
その時であった、中庭の方から、「脱牢でござる! 方々出合え!」と、伊集院の声が聞こえて来た。
バタバタ駈けて来たのは烏組のお紋、「ご前、大変にございます! 浜路、宗三郎、鷺組のお絹、脱牢いたしましてございます!」
「馬鹿め!」と一喝した太郎丸、「とらえろ! とらえろ! どんなことをしても捕らえろ! 陰謀を知っているあいつら三人、取り逃がしては露見の基! 兵を繰り出せ! 烏組を繰り出せ! 手にあまったら切ってすてろ!」