轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かんかんむしはうたう
かんかん虫は唄う
吉川 英治
「週刊朝日」1930(昭和5)年10月号~1931(昭和6)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,006 字 · 182 页
三時四十分――
汽車の発車時刻のように、満潮期の海へ、船渠は口を開いた。山のような影を、ゆるやかに吐き出した。
「どうしたい、あの、らしゃめんは」
「いつのまにか、ドロンでやがる。ふてえ奴だオイ、どうする気だ、プリンス」
「何がよ……」
ペンキ小屋の裏で、ストライキが起った。彼の支持者たちは、不平だった。トム公は、草原の中に乾いている快走船の中で、阿片の混合している噛み煙草を噛んで、黄いろい泡を口の中で揉みながら、夕方の空をながめていた。
「何がって、あのオペラバッグよ、十万両の一割なら、一万両だぞ」
「会社へそう言ってやれ」
「黙ってるばかがあるもんか、職長へかけ合えよ」
だが――そのうちに六時半の解放汽笛が鳴ると、みんな頑張る気を失ってしまった。一刻も早く帰りたい方が、先になった。
金釦をつけた守衛は、いつもの出口に立って帰る者のポケットや弁当箱を、両方から一人一人撫でまわした。それは通常のことで、侮辱とも感じないほど馴れきっているが、きょうのは、いやに手間がかかって、なかなか先が吐き出されなかった。
空の弁当箱は、いちいち解かれた。口を開かせられたり、綱を跨がせられたり、ひどく、きびしい。