轻松读懂日语经典作品
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かんかんむしはうたう
かんかん虫は唄う
吉川 英治
「週刊朝日」1930(昭和5)年10月号~1931(昭和6)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,006 字 · 182 页
消燈天国
トムの知っているのがその中に四人いた。一番のッぽの徴兵検査ぐらいに見える少年は洟をたらしていた。
「トム、また捕まったのか。こんどはおめえ八丈島へ行くんだぜ」
「アア行くよ、八丈島へ行ってみてえや」
「あそこへ行くと、一生帰れねえんだぜ」
「嘘だい」
トムは彼らよりは高い知識で、少年感化院の性質を説明しかけた。
「こらッ、しゃべっちゃいかん」
監視人のスリッパの音はたえず廊下を往復していた。彼らの心境とは最も遠い音であった。
「チイッ、くそ。……おびんずるめ」
と、七枚の赤い舌は、蛤のようにチュッと啼いて、感化事業家の跫音を軽蔑した。
消燈天国
薄暮になると戸部の西洋牢時代を偲ばせる遺物の鐘が、黒い塀の中で六時を鳴った。
「チャブだ! チャブだ!」
と、監内の不良児たちはざわめくのだった。
「食事」
と、冷たい声を投げながら、監視は、各室の錠をひらいて、五名、或いは七名、或いは十名ずつの食慾そのものに柔順な不良児たちを引率して、ひろい板場の食卓にあつまった。
薪の煤で真ッくろに燻っている天井から、笠の焦げているのや、ホヤに膏薬貼りのしてあるランプが、卓の上に添うて七、八個ほど吊りさげてある。