轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かんかんむしはうたう

かんかん虫は唄う

吉川 英治

「週刊朝日」1930(昭和5)年10月号~1931(昭和6)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,006 字 · 182 页

青空文庫

橋下橋上

……ひきうける私もすこし粋狂だけれど」

「ホ、ホ、ホ。女将さんのような気性だと、見込まれるんですよ」

「女のとりもちぐらいならいいけれど、大隈さんも、ひどい目にあわせるわよ。いずれ、お前さんにも智恵を借りたいと思うけれど」

と、急にいろいろの用事を思い出したように、そわそわと下駄をはいて、

「豆菊ちゃん、そッち? また、遊びにおいでよ」

橋下橋上

真昼の、活動的な、太陽の下、ことに埠頭、船渠、荷馬車、お茶場工場などの、騒音と埃と人間の奔影とが錯綜と織られている横浜の十字街を、ゆうべの芸妓や、雛妓を引っぱって、生糸を積んだ幌荷馬車の前を横ぎっても、誰も、そのすがたを、特に、不生産的冷蔑な眼で、見るものはない。

茶色の中折帽に、黒眼鏡をかけ、色の小白い中背の男だった。すこし、やにっこく、若旦那を気どってはいるけれど、女たちには、気うけがいいに違いない。

「買ってやるよ、買ってやるから、往来でそんなことを言うのはよせやい。それに、用事を先にすまさなくっちゃだめだから、おまえたちはそこいらで待っておいで」

「いやだわ、置いてけぼりなんか……」

「誰が、そんなことをするもんか、すぐそこだよ」