轻松读懂日语经典作品
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かんかんむしはうたう
かんかん虫は唄う
吉川 英治
「週刊朝日」1930(昭和5)年10月号~1931(昭和6)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,006 字 · 182 页
豆菊
「たしかに横浜においでになるなら、きっと探してみますけれど」
「あまり名誉なことじゃないし、新聞にでもでると、折角、昔の生涯をすてている当人が、また新しく社会から鞭を打たれる……。で、これや、おまえが適任じゃと考えて依頼するんじゃ」
「よろしゅうございます」
「女傑と定評のある千歳の女将が、うんと言ってくれたので、わしもこれで安心した」
「御前様は、おだてるのが、お上手でいらっしゃいます」
「分ったら、すぐ知らせてくれい」
「どういたしましょう、それだけのご用で、御前様がおいでになるわけには参りませんし」
「おまえが、東京へ伴れて来てくれぬか。――わしの邸へ直接に」
「その方が、かえって、世間にわからないだろうと存じます」
「すべて、女将の才覚にまかそう。――ちょうど時間がきたな、懇話会へ行かなければならん。馬車を命ってくれ」
高瀬理平は、折角の貴賓を、意味なく、うやうやしく、送り出さねばならなかった。
豆菊
「みんな! 何を買って上げようネ」
本牧から横浜の市街へ向って走る馬車の中で、女将は、はしゃいでいた。
七人の雛妓ばかりが、二台の馬車につまっていた。馬車がゆれるたびに、雛妓たちはキャッキャと笑い転けた。