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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
だがそれにしてもいいかげんで、芸当をお終いにしないかしら」
いやなかなかお仙の芸当、終りを告げようとはしなかった。数匹の蛇を綾に取り、それをほぐすと縄になう。口笛に連れて踊らせたり、数丈の高さに投げ上げては、小指の先で受け止めて、キリキリと指へ巻き付かせたり、自由自在に扱うのであった。
しかしその日も暮れ逼まり、夕陽が天末を染める頃になると、お仙帰りの仕度をした。
「さあさあ、今日はこれでお終い。後は明日でございます。そのまた明日は珍らしいところを、二三加えてお眼にかけます。どうぞお立ち合いくださいまし。そうしてお願い致します、別れて逢えない宗さんを、どなたかお見掛けなさいましたら、さっきも申した七ツ寺、蝮酒屋までおいでくだされ、お教えなすってくださいまし。それこそ一生ご恩に着ます。ご免くださいご免ください」
以前変らぬ蝮捕り姿、腰には畚、手には鉤、紺ずくめの裳束で、人を掻き分け境内を出たが、ションボリとして寂しそうだ。
と、背後から呼ぶ者があった。
「もし太夫さん、お仙様!」
振り返ってみれば白裳束、雪女郎のような白い女が、軒に立って招いている。
「何かご用でございますか?」