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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页

青空文庫

お仙立ち止まったものである。

「はい」と云うと近寄って来た。「妾はお絹と申しまして、江戸から来たものでございます。あなたが探しておいでになる、山影様とは同家中、よくお噂を聞きました。場合によってはお力になり、探してあげたいと存じますが、ついてはあなたの芸道具、慣らされ切ったその小蛇を、お貸しくださることなりますまいか」

「まあ」とお仙驚いたが、見れば縹緻は美しく、それに凛とした品もあり、悪婆でないということは、一見すぐに見てとられた。そこで愛想よく頷いた。

「お易いご用でございます。小蛇がご用に立ちますなら、さあさあお使いなさいまし。しかし慣らされた小蛇でも、妾が自分で使わない事には、決して云うことは聞きませぬ。どういうご用かは存じませぬが、妾の力で出来ますことなら、どうぞおっしゃってくださいまし。いくらでもご用に立ちましょう。山影様と同家中、水戸様ご家来と承わってみれば、他人のようには思われません。力になってくださいますとか、尚さら疎かには思われません。どんなご用でございましょう? 遠慮なくおっしゃってくださいまし」こう気持ちよく云ったものである。

「御器所の森の大杉の木、そこに出来ている小さい穴へ、慣れた小蛇を追い込んで、様子を見たいのでございます」