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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
……ある夜逢ったのがその女! 云われるままに従いて行くと、突然一丁の駕籠が現われ、その戸がコトリと開いたかと思うと、自然と中へ吸い込まれ、ハッと思うとがんじ搦み。猿ぐつわをさえ篏められてしまった。どこを通ったか解らない。駕籠から出て見るとこの部屋だ! それから乱舞! 裸形の女! 島津を筆頭に前田、細川、外様大名が同盟し、幕府に弓を引くについては、連判状に加名せよと、しつこく逼ったがそれから後は、……どうやら気絶をしたらしい。……いったいここはどこなんだろう?」
四辺を見廻したものである。
「や?」
と宗春声を上げた。「ここは西丸から通じている『二方遁がれ』の地下の部屋だ!」
そこでじいいっと考えたが、
「とまれ何者かこの俺を、助け出そうとしているらしい。よし」と云うと膝の前の、硯箱から筆を取り、サラサラと紙の裏側へ、数行の文字を認めた。小蛇の胴へ巻き付ける。と、遠々にどこからともなく、あるかないかの口笛の音、ヒュ――ッ、ヒュ――ッと聞こえて来る。
連れて小蛇が動き出したが、どこへ行ったものか見えなくなった。
愛慾をそそる香の煙り! 愛慾をそそる龕の燈火! 依然として洞内は淫らであり、依然として洞内は物凄い。