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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
……お退き! 宗さんが、あそこで虐められているんだから! 早速行って助けなければならない」
「馬鹿だなあこの女は! 誰が虐めているか知っているか?」
「真っ黒の女だと云うことだよ」
「俺の一味だ、島津の烏組だ! 何んで貴様などやられるものか。ここで逢ったはちょうど幸い、生け擒りにして連れ戻り、江戸以来の思いをとげる。……あいや方々!」と一味を見返り、
「山影、浜路、仁右衛門は、烏組の衆に任せて置き、まず大丈夫と見てよかろう。ご苦労ながらこの女を、ひっ捕えて屋敷へお運びくだされ。直接ではないが間接には、この組紐のお仙という女、敵方の一人と申してよろしい」
「かしこまる!」と二三人、お仙へ向かって飛びかかった。
「馬鹿な面め!」と叫んだが、叫んだ時には組紐のお仙、畚から蝮を引っ張り出し、ビューッとばかりに投げ付けていた。
「ワッ」と叫ぶ武士の声!
「首へ巻き付き食い付いたからは、気の毒気の毒命はない! 蝮だ蝮だ蝮!」またも一匹投げつけた。
酌だ! 禄だ! 酌だ! 禄だ!
蝮をピューッと投げ付ける! こんな途方もない兵法が、浮世にあろうとは思わなかった。そこで伊集院もその一味も、ギョッとして一時退いたが、蝮の数にだってキリがある。