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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,569 字 · 451 页
「へえ、お詫び! 真っ平ご免」あやまったが挨拶がない。手で探ると縁のふち。「ごもっともさも、叱られなかった筈だ。むやみと叱るのは人間で、叱らねえのは……何んだろうかなあ。……お宮と見える、一休み、ドッコイショ」と腰かけた。首をうなだれ、溜息を一つ、ぼんやりとして考え込んだ時、
「盲人盲人、どうしたな」こういう声が聞こえて来た。他ならぬ志水幹之介である。聞き覚えのある河東節、懐かしんでつけて来たのである。薪十郎と並んで腰かけた。
それから交わされた二人の会話――
「へえ、どなた様でございますな」
「ああわしか、通りかかりの者だ」
「へえへえさようでございましたか」
「尾羽打ち枯らした浪人だよ」
「ああお侍様でございましたか」
「富士見原からつけて来たものだ」
「ヒッ」と云うと飛び上がった。「ク、首ですね! 首のご用!」
「ハッハハ」と幹之介、さびしく笑ったものである。「朝っぱらから切り取りをする! 今の俺にはそんな度胸はないよ」
「へえ、有難う存じます」ふたたび縁へ腰かけたが、「お侍様へ、お聞きいたします、あの只今は朝っぱらなので?」
「ああそうだよ」初冬の朝だ。
「ふうむ」