Japanische Klassiker mit Furigana
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ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
Lesen Sie 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 191.184 Zeichen · 379 Bildschirme
二
「シッ、お別れ、いずれ後刻」
二人は別れて戸口から消えた。
決闘用の洋刀二本を、ぶっちがえにして壁にかけた、その下に楕円形の出入り口があり、そこにマドリッドの産らしい、赤金色の垂布がかけてあったが、それをかかげて三人の男が、しのびやかにはいって来た。
一人は能の安宅の弁慶、兜巾をいただき、篠懸をかけ、大口を穿き金剛杖をついて、威風堂々たる人物であり、一人はこれも羽衣へ出る、腰簑をつけた瀟洒とした漁夫で、手に櫂を持っており、もう一人はこれも熊坂へ出る、大盗熊坂の仮装をし、薙刀をかい込んだ男であった。
いずれも仮面を冠っている。
「戸ヶ崎、範之丞、ここから見るがいい」
弁慶姿の冬次郎はいって、窓によって外を見た。
「来たぞ行列が、将軍家の行列が。……田沼もいる、貝十郎もいる、九十郎もいる、源内もいる」
熊坂の仮装の熊太郎も、漁夫の仮装の範之丞も、窓によって外を見た。
二
ロシア風に造られた出櫓めいた建物、その裾の辺を前駆として二本、後駆として二本都合四本の、松明の火に照らされながら、そうして遅く出た半かけの月に、頭上を蒼白くぼかされながら、妖怪の行列が通っていた。